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茨城県の「10年特例用地」とは?条件・注意点を県条例からわかりやすく解説

茨城県南エリアの土地情報を見ていると、「10年特例用地」という言葉に出会うことがあります。周辺の宅地より価格が安く、敷地も広め——そう聞くと魅力的に映りますが、この土地、誰でも自由に家を建てられるわけではありません。
「10年特例」は不動産会社が便宜的に使う通称で、実際には茨城県の条例にもとづく、かなり細かい条件が定められた制度です。この記事では、その仕組みと、購入・建築を検討する際に押さえておくべきポイントを、県の公式資料をもとに整理します

そもそも「10年特例用地」とは何か
正式には、都市計画法にも農地法にも出てこない言葉
まず知っておきたいのは、「10年特例用地」という言葉自体が、法律上の正式な用語ではないということです。これは不動産業界で実務上使われるようになった通称で、正式には**茨城県条例第6条第1項第3号「既存集落内の自己用住宅の取扱いについて」**という制度を指します。
本来、「市街化調整区域」は、都市計画法によって「市街化を抑制する区域」と定められた土地です。原則として、新たに住宅を建てることはできません。ところが、一定の条件を満たせば、例外的に自己の居住用住宅の建築が認められる——この例外規定のひとつが、通称「10年特例」です。
なお、これは茨城県の条例にもとづく、基本的に茨城県内だけの制度です。他県に似た仕組みがあっても、条件は異なることが多いので注意してください。また、取手市のように独自の条例を持つ市町村もあり、細かい戸数の基準などが県条例と違う場合もあります。
対象になるための3つの条件
「10年特例」の適用には、大きく分けて「土地」「人」「理由」の3つの条件があります。
① 土地の条件——「既存集落」の中にあること
対象となるのは、「既存集落」の中にある土地に限られます。既存集落とは、建築物どうしの敷地の間隔が70メートル未満で連なっており(これを「連たん」と呼びます)、原則としておおむね50戸以上の住宅が含まれている地域を指します。
ここで一つ、あまり知られていないポイントがあります。県の運用基準では、この「50戸」という基準が、実際の審査では40戸まで下限を緩和して扱われることになっています。「うちの周りは50戸もないから対象外だ」と早々に諦める前に、40戸台であっても対象になり得る点は、覚えておいて損はありません(ゴルフ場や資材置き場など、連たんの対象に数えられない土地の区域もあるため、正確な戸数は個別に確認が必要です)。
② 人の条件——「本籍」または「10年以上の居住」
ここが、この制度が「10年特例」と呼ばれる由来の部分です。ただし、条文を正確に読むと、実は**「本籍」を根拠にするルートと「居住」を根拠にするルートは別物**で、年数の縛りがあるのは後者だけです。
具体的には、次のいずれかに当てはまる人が対象になります。
- 建築地が属する大字(おおあざ)、またはその隣接する大字に、線引きの日(市街化区域と調整区域が分けられた日)より前から、本籍を有していた人(年数の指定はありません)
- 同じエリアに、10年以上、居住していた人(これが「10年」の直接の根拠です)
- 上記に当てはまる人の、2親等以内の血族、または1親等の姻族
- 線引きの日より前からその土地を所有していた親族から、線引きの日後に相続・贈与・売買で土地を取得した人
「本籍さえあれば10年住んでいなくてもよい」「居住だけなら10年必要」という、この違いを正確に理解しておくと、思わぬ勘違いを防げます。
③ 理由の条件——「やむを得ない事情」が必要
自己用住宅を必要とする理由も、何でもよいわけではありません。県の基準では、次のようなケースが「やむを得ない理由」として挙げられています。
婚姻により独立した世帯を持つ場合、退職や転勤で転居せざるを得ない場合、今住んでいる家が手狭・老朽化・被災している場合、病気で転地が必要な場合、帰郷して定住する場合、単身者が家族と同居していた状態を解消する必要がある場合、借地上の家で改築ができない場合、今の住まいが崖地など危険な場所にある場合、日照不良や進入路の狭さなど住環境が悪い場合——おおむね、こうした事情のいずれかに該当する必要があります。「気に入ったから」という理由だけでは、申請は通りません。

敷地・建物にも、細かい基準があります
条件を満たした人であっても、建てられる住宅にはサイズの制限があります。
敷地面積はおおむね200〜500平方メートル(下限はおよそ190平方メートル)、住宅の延床面積はおおむね200平方メートル以下(同居家族の事情によっては220平方メートルまで拡大できる場合があります)、建物の高さは10メートル以下——これらが目安です。また、勤務先がある場合は、予定地から通勤に2時間を超えないことも条件に含まれます。
建築までの流れ
10年特例は、正確には「開発許可」を得るための要件のひとつという位置づけです。実際に家を建てるまでの流れは、次のようになります。
① 開発許可の取得 → ② 農地転用の許可・届出(土地の地目が農地の場合) → ③ 建築確認申請 → ④ 着工・完成
土地の地目が田や畑など農地の場合は、開発許可と同時に、農地法にもとづく転用の許可も必要になります。開発許可さえ下りれば、そこから先は市街化区域の土地と大きな違いはありません。
メリットと、見落とされがちな注意点
メリット
市街化区域の土地より価格が安いことが多く、農地・田畑からの転用であるぶん敷地が広めになりやすい傾向があります。調整区域ならではの、静かで自然に恵まれた環境も魅力です。
注意点
一方で、見落とされがちなデメリットもあります。まず、金融機関の担保評価が低くなりがちで、住宅ローンが組みにくいことです。要件を満たさない人が購入すると、原則として現金購入になります。上下水道などのインフラが整っておらず、自己負担での整備が必要になる場合もあります。そして何より、要件を満たしていても、個別の審査で建築が認められないケースがあるということです。「10年特例用地」と土地情報に書かれていても、それは「対象になり得る土地」という意味であり、「誰でも家を建てられる土地」という意味ではありません。
似た制度と混同しないように
県条例には、10年特例(第3号)のほかにも、既存集落の戸数がさらに少ない場合の「小規模既存集落」(第4号)、独立した世帯を持つための「世帯分離」(第5号)、建て替えに関する規定(第6号)など、似た趣旨の複数の制度が並んでいます。それぞれ戸数や条件の基準が異なるため、「うちの土地は10年特例の対象外だったが、別の号に当てはまるかもしれない」ということもあり得ます。
弊社では、このように対応しています
クロスビズ不動産は、こうした市街化調整区域の”訳あり”な土地の売買・活用に関するご相談も承っています。「10年特例用地」と書かれた土地を検討している、あるいは相続した土地がこの制度の対象になるか知りたい——そうした段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
条件の適合可否は、最終的に各市町村・県の窓口での個別審査によって判断されます。弊社では、その前段階の整理や、対象にならなかった場合の他の活用・売却方法まで含めて、実務的な視点でサポートします。

よくあるご質問
Q. 「10年特例用地」と書かれた土地なら、誰でも家を建てられますか?
いいえ。土地の条件(既存集落内であること)に加えて、購入者本人が「本籍」または「10年以上の居住」といった人的な条件を満たす必要があります。要件を満たさない場合、その土地に自己用住宅を建てることはできません。
Q. 「10年」というのは、必ず10年住まないといけないという意味ですか?
正確には少し違います。線引きの日より前からその地域に「本籍」があった場合は年数の指定がなく、「居住」を根拠にする場合にのみ、10年以上という基準が適用されます。
Q. 住宅ローンは使えますか?
金融機関によっては、市街化調整区域の土地に対する担保評価が低くなり、住宅ローンが組みにくい場合があります。要件を満たさない人が購入する場合は、現金購入が前提になることが多いです。事前に金融機関へ確認することをおすすめします。
まとめ
「10年特例用地」は、「安いから誰でも自由に建てられる土地」ではなく、茨城県の条例にもとづき、既存集落の要件と、本籍または10年以上の居住という人的要件を満たした人だけが、開発許可(必要に応じて農地転用も)を経て、自己用住宅を建てられる特例です。要件を満たさない段階での購入は、住宅ローンが組みにくく、現金購入が前提になりやすい点に注意してください。
土地の条件や、ご自身が要件に当てはまるかどうかで迷ったら、お気軽にご相談ください。
まずは、お電話またはLINEからお気軽にどうぞ。
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